1.ソーシャルスタイルにおける「2つの視点」

「自己主張度」と「感情表現度」の2つの視点

ソーシャルスタイルでは、社会での振る舞いや話し方を「自己主張度」と「感情表現度」という2つの側面から見て分類します。 この2つの視点によって、子どもの行動を4つのスタイル—

社交型
友好型
行動型
理論型
 

に分けることが可能になります。 まず理解しておきたいのは、この「自己主張度」と「感情表現度」の判断基準が、本人の内面的な自覚ではなく、周囲から見た印象に基づいている点です。 つまり、周囲の人がどのように見ているかという視点で、保護者の方にも回答いただくことが重要になります。 この4つに分けるための視点、「自己主張度」と「感情表現度」についてかんたんにご説明いたしましょう。

1.「自己主張度」とは?

「自己主張度」は、周囲から見たときに、どれだけ積極的に自分の考えを主張しているかの度合いを指します。 たとえば、学校での話し合いを例に考えてみましょう。

  • 自分から積極的に手を挙げて意見を言う(自己主張度が高い)
  • 指名されるまで意見を言わない(自己主張度が低い)
  • 意見を言う時、早口ではっきり言う(自己主張度が高い)
  • 意見を言う時、ゆっくり静かに言う(自己主張度が低い)
  • 意見を言い終わった時、少し興奮した様子(自己主張度が高い)
  • 意見を言う前という後で変わった様子は見られない(自己主張度が低い)

このように、発言のタイミングや様子で自己主張の度合いを見ていきます。 日本では、「自己主張」というと「わがまま」や「自己中心的」といった否定的な印象を抱かれがちですが、ソーシャルスタイルでは単なる行動傾向であり、価値判断はありません。 「自己主張」を「自分の考えの表現」と考えれば、それが今後の社会で大事なスキルとなることも納得できるでしょう。

2.「感情表現度」とは?

「感情表現度」とは、周囲の人から見て「どれくらい感情が表情や態度に出ているか」という度合いのことです。 たとえ内心でたくさんの感情を抱えていても、それを表に出さないと他人には伝わらないもの。 ここでは、周囲からどのように見られているかがポイントになります。

たとえば、修学旅行を明日に控えた夜をイメージしてみましょう。

– Aさん:普段よりも興奮気味でテンションが高め
– Bさん:ニコニコしてはいるけれど、特に変わった様子はなし

翌日、先生が「旅行中はずっとお天気が良いそうよ!」と伝えると…

– Aさん:「よっしゃあ!」と元気よくガッツポーズしたり、お友だちと喜び合ったりする
– Bさん:ニコニコはしているけれど特に反応は変わらない

内心ではBさんも、ワクワクでドキドキしているのかもしれませんが、外に見えないため感情表現度は低い、ということになります。 このように、「自己主張度」と「感情表現度」という2つの視点から、性格の傾向を縦軸・横軸で図にすると、4つのタイプに分かれたスタイルが見えてきます。

この図の中で、「自己主張度」と「感情表現度」の高低によって4つの方向、I・II・III・IVに分かれる組み合わせができあがりましたね。 この4つの組み合わせが、お子さんが社会の中で見せる行動や反応の傾向をわかりやすく分類したものです。 それでは、ここからソーシャルスタイルで見られるお子さんの4つのタイプについて、詳しくご説明いたします!